山で「マダニ」に刺されたら

野山に行く時はマダニに注意

「マダニ」は野山にいて、通常は野生のイノシシやネズミに寄生しています。普段の生活で刺されることはありませんが、ハイキングやキャンプに行くときは要注意です。

 「マダニ」は人が通るとそれを察知して素速く衣類に付着し、皮ふをはい回って柔らかい部位にくっつき吸血します。かゆいブツブツが出る「蚊」や「イエダニ」と違い、「マダニ」は吸血している虫が取れないことで受診されます。かゆみや痛みはありません。時には「マダニ」と気付かず「ほくろ」が急に出来たと来院される方もいます。本当ですよ!
「マダニ」が刺すのは数日後と遅く、血を吸い続けるので虫体がパンパンにはれて「でき物」のように見えるためです。
「マダニ」は1週間以上吸血し、稀ですが、ウイルスなどの病原体を持っていて吸血時に人に感染し熱や関節痛の原因になるので、早めの除去が必要です。でも、引っ張って取るのはやめて下さい。引っ張ってもセメント物質で固定された「マダニ」の口が皮ふに残ります。 ネットではワセリンで窒息させるなどの方法が書かれていますが、うまくいくのは刺されてすぐだけ。2日以上経っている場合はメスで切り取る方が安全です。
野山では子供を草の上に直接座らせないようにし、ズボンの裾は靴下の中に入れた方がいいでしょう。
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富山県高岡市駅南3-5-33
皮膚科神経内科 白崎医院
TEL: 0766-25-0012
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朝起きて虫刺されに気付いたら、

「ダニ」に刺されたと思う人が多いようです。

翌日も刺されないように急いで布団を干したり、掃除したり、あるいはバルサンをたいたりしていませんか?

アレルギーを起こすダニと刺すダニ

誤解が多いのは、アレルギーを起こす「ダニ」と血を吸う「ダニ」を混同しているパターン。
ホコリや食品の中で生息する「ヒョウヒダニ」や「コナダニ」はアレルギーを起こすことで問題になりますが、人を刺したり吸血することはなく、虫刺されのような赤いブツブツも作りません。
イエダニ
一方、吸血する「イエダニ」(図)は普段ネズミや野鳥に寄生していて、人からも吸血するので赤いブツブツの原因になります。なぜか刺しやすい手足ではなく、柔らかいワキや陰部付近が刺されます。

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O型の人は蚊に刺されやすい?

蚊に刺されやすい人はいる?

ka_hitosujisimaO>B>AB>Aの順で刺されやすいという実験もあるようですが、実際のところ科学的な根拠はありません。蚊は体温や皮膚の水分量、皮膚から放出される炭酸ガスの量、体の動きなどを総合的に判断して刺しているようです。「他の人と一緒にいたのに自分だけ刺された」という場合も多いのですが、その日の体調なども関係しているため「刺されやすい人」と一概に決めることはできません。まして、血液型物質を察知して刺すという単純なものではないようです。

蚊に刺されると翌日に赤くなります

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毛虫皮膚炎

毛虫の毛にさされてかゆくなる人がこの季節多くなります。


毛虫皮膚炎ツバキやサザンカなどの葉を食べて大きくなるチョドクガの幼虫。肉眼でも毛はみえますが、毒があるのはこれではなく、さらに小さい長さ0.1mmの針のような毛。毛虫の黒い節のところに密生していて、
その数、毛虫一匹で50万本。小さくて毛虫から簡単にはがれるので、木の近くを通っただけで風で飛んできた毛が刺さります。毛虫を見てなくても、触ってなくても症状が出るのはこのためです。


刺されるとすごくかゆい赤いブツブツができますが、これは毒によるアレルギー反応です。アレルギーなので、人により症状が違い、刺された当日からはれる場合と、1~2日後に遅れてかゆくなる場合があります。

今月いっぱいと8~9月の年2回幼虫が発生するので、しばらくはツバキやサザンカの木に近づかないようにして下さいね。庭にこれらの木がある時は布団や洗濯物を干すときの風向きにも気をつけて。毛虫に触れてしまったら、テープで毒針毛をはがし、シャワーで流して下さいね。

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海水浴皮膚炎

 20130815-zoea3今年の夏は猛暑で、海水浴に出かける人も多いと思いますが、この時期みられるのがゾエアによる海水浴皮膚炎です。


 ゾエアとは、大きさ3mm程のカニやエビなど甲殻類の卵からふ化したプランクトンの一種で、図のように鋭いトゲを持っています。ゾエアは海中の特定の所に集まったり、流れ藻と一緒に浮遊していて、海水浴中に偶然その中に入ってしまうと、刺されて皮膚炎を起こします。海から上がった後に、水着に覆われている場所を中心にチクチクとした痛みやかゆみが生じ気付きます。刺された場合はすぐに水着を脱いでよく水で洗って下さい。しばらくして赤いブツブツが出てきた場合は、ぬり薬を使った方が早く治るので、受診をお勧めしています。流れ藻などにはあまり近づかないよう気をつけて下さい。

蜂(ハチ)アレルギーがあるか調べることが出来ますか?

採血でスズメバチ、アシナガバチ、ミツバチのIgE抗体を調べると採血でスズメバチ、アシナガバチ、ミツバチのIgE抗体を調べるとわかります。

これらのIgE抗体が陽性であれば、ハチに対するアレルギーがあると考えます。ただし、結果が陰性でも次にハチに刺された時にアナフィラキシーショックになる場合もありますし、陽性でもならない場合もあります。今のところ採血だけでは100%白黒をはっきりさせることはできません。


 一方もし抗体価が高ければ、エピペンという血圧を上げる携帯用の注射があるので、それを持って頂いた方が安心だと思います。アナフィラキシーショックは急速に進行し救急車を呼んでも間に合わないという場合があるので、エピペンはその間をつなぐ薬です。詳細はメーカーサイトをご覧下さい。

蜂(ハチ)刺され

20130808-bee ハチ刺されが恐いのは、刺されたことで死亡する場合があるからです。日本では年間20人程で、多くは山村など医療機関から遠いところで刺されています。アナフィラキシーショックによる血圧低下と呼吸困難が死亡原因です。

 このアナフィラキシーショックは、以前ハチに刺された人でハチアレルギーを持っている方に起こります。多くは刺されて数分以内に発病し急速に進行するので、何か変だと感じたらすぐに救急車を呼んで下さい。1人で病院に行くのは、途中で車を運転できなくなる危険性もあるので避けて下さい。

 ポイントは刺された部位以外に何か症状があるかどうかです。

 刺された部位以外が赤くなったり、かゆくなったりしている。顔がほてる、何となく調子がわるい、気分がすぐれないなどがアナフィラキシーショックの最初の症状です。次第にのどがイガイガしてきて息苦しくなったり、吐き気や頭痛が起きてきます。

 逆に刺された場所とその周りが赤くはれているだけで、体の調子がおかしくなければ、急ぐ必要はありません。特に1時間すぎても刺された部位の反応だけであれば、局所の治療だけを行うことになります。ただハチの場合は、刺された部位もかなりはれ、痛みも伴うので、早めに受診して頂きステロイドのぬり薬などを使う方が良いと思います。

 スズメバチは5月頃に女王バチが1匹で巣作りを始めた後、6月頃に働きバチが生まれ、7~9月にかけて働きバチの数が増えて巣が大きくなります。したがって、この8~9月にハチに刺される被害が多くなります。家の周りでも普通にハチがみられ、庭木の手入れや草むしりの時に巣を刺激して刺されることがあるので、注意が必要です。

 ハチに刺されないための一般的な注意点は独立行政法人森林総合研究所発行の スズメバチ被害防止パンフレットに詳しく書かれています。この辺りではおとぎの森でもハチが出ますので、子供が刺されないようにご一読をお勧めします。

蜂アレルギーがあるか調べることが出来ますか?

虫刺され(ブヨ)

夏になるとキャンプやハイキングに山へ出かける人も多くなりますが、渓流近くではブヨ(ブユ、ブト)に気をつけて下さい。

20130707-buyuブユは体長4mm程の黒っぽいハエに似た小さい昆虫で、主に朝夕に吸血します(夜間は吸血しません)。口器で皮膚を切って吸血するため、吸血後には小さな出血がみられるのが特徴です。蚊に刺された時より強くはれることが多く、治るまでの期間も数日~10日と長いので、ステロイド外用剤、あるいはステロイドの飲み薬によるしっかりとした治療が必要です。自然に治ると思って放っておくとシコリになり半年たっても残る場合がある<ので気をつけて下さい。


肌を露出した部分から吸血するので、露出を避けて、電池式蚊取りなどを使用で予防して下さい。



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虫刺され(ダニ)

夏になり体がかゆくなると、ダニに刺されたと思い受診される方が多いですが、実際にはダニ以外が原因のことが結構あります。何が原因か分からないときは皮膚科を受診をお勧めしますが(もちろん、皮膚症状をみただけで100%どの虫かは同定できません)、ダニだとはっきりしている時は以下を参考に対策を行って下さい。

イエダニ

イエダニ0.7~1mm程の大きさで、ネズミに寄生し、時にネズミの巣から出て人を刺します。夜間寝具の中に入り込んで、皮膚の柔らかい部位を刺すことが特徴です。同じ部屋で寝ていても症状が出ない人がいるのは、反応に個人差があるためです。寝室にバルサンなどをたく必要がありますが、同時にネズミの駆除やツバメやスズメの巣の駆除が必須です。

ツメダニ

体長0.5~0.8mmの大きさで、じゅうたんや畳に発生するヒョウヒダニ類を捕食して生活しています。偶然人の皮膚に触れた時に刺すと考えられているので、肌を露出した部位に症状が現れます。夏の高温多湿の環境でヒョウヒダニが増えたときにツメダニも増えるので注意が必要です。殺虫剤の使用以外に、部屋を乾燥させ十分な清掃を行って下さい。

0.2~0.5mm程と目に見えない大きさのヒョウヒダニは人を刺すことはありません。ただ、喘息やアレルギー性鼻炎の原因になるアレルゲンになるので、繁殖させないよう気をつける必要はあります。ヒョウヒダニの餌は人の落とすフケやアカなので、部屋の湿度を落とし、時間をかけて掃除することが有効です。例えば、布団は最低週1回は表を1分間、裏を1分間掃除機で吸い込むと良いでしょう。



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