虫刺され(蚊の予防対策)

虫刺されを起こす蚊には主に2種類あります。特性が異なるので、予防対策も異なります。

〈アカイエカ〉

アカイエカ夜寝ているときに吸血に来る性質があります。刺された後の反応には個人差があります。刺されてすぐにかゆくなる場合、翌日になってはじめてかゆくなる場合、両方の反応が出る場合があります。翌日になってかゆくなるため、虫刺されが原因と気付かずに診察を受けられる方も多くおられます。


蚊が室内に入らないように網戸を常にしっかり閉めておく必要があります。寝室は寝る前に電気蚊取りなどで殺虫しておくとよいでしょう。ダニではないので、バルサンのように部屋を閉め切って煙りをたく必要はありません。

〈ヒトスジシマカ〉

ヒトスジシマカ家の周りや公園の草の茂みや藪に潜んでいて、昼間に吸血します。アカイエカと同じように刺された後の反応には個人差があります。アカイエカに刺されても大した反応が出ない人でも、ヒトスジシマカに刺されると症状が強く出る場合もあります。


外に出るときは肌の露出を抑え、虫除け剤を使用して下さい。

蚊の写真は虫NAVIから許可を得て転載させて頂きました。ありがとうございます。


虫刺されのはれ方に個人差がある理由

他の虫刺されの解説はこちら

クラゲ刺され

20130817-kurage2富山湾では、お盆を過ぎた夏の終わり頃になると毒を持つアンドンクラゲが増えるので、海水浴の時は気をつけて下さい。図の様に行灯(あんどん)に似た四角いかさから4本の触手が延びているクラゲで、触手には毒の入った刺胞(しほう)が多数あり、これが刺さって痛みを感じます。刺されると次第に赤く腫れてきて、線状にブツブツが出てきます。

 時々酢をかけた方がいいのかと質問を受けますが、あまりお勧めはできません。沖縄にいるハブクラゲの場合は多量の食酢をかけて触手を取り除くそうですが、アンドンクラゲの触手がまとわりついている場合は海水で洗い流し、ゆっくり丁寧に剥がすのが良いと思います。水道水で洗い流すと刺胞が破裂するので行わないで下さい。触手がない状態では酢をかける必要はまったくなく、赤いブツブツが残ったらステロイド外用剤で治療をするのが一番です。痛い場合はまず冷やしてもらい、痛みが残る場合は痛み止めを処方いたします。


 おわん型のミズクラゲもこの時期多いと思います。毒はアンドンクラゲより弱く触っても痛くないことが多いですが、毒を持っていないわけではないので、触らないようにして下さい。

海水浴皮膚炎はこちらをご覧下さい。

虫刺され(赤くはれ方に個人差がある理由)

20130616-katori“カ”に刺された後の反応にはなぜ個人差があるのでしょうか?

“カ”に刺されてもほとんどはれない人から、特に子供では赤くはれてシコリを伴うこともあります。ひどくはれると、「体のどこかがおかしいのでは?」と心配するお母さんもいますが、高熱を伴わなければ単なる虫刺されとして問題ありません(もし高熱を伴う、あるいは虫刺されの後が傷になって残る場合は蚊刺過敏症という病気を疑い詳しい検査を行います)。

この個人差は、虫刺されの反応が吸血の時に注入される唾液成分へのアレルギー反応で生じるためです。

一般にアレルギー反応は、下記のような時間経過で反応が変化しますが、人によって免疫の強さが異なるためその反応の程度はまちまちです。

  1. 最初に刺されたときは無反応
  2. 次に刺されたときに1~2日遅れで虫刺されの症状が出るように
  3. 刺され続けると、刺されてすぐにもじんま疹のようにはれるようになる
  4. もっと刺されると体が慣れて徐々に反応しなくなる

日本人の場合、夏に少しずつ”カ”に刺され慣れていくので、子供のときに激しい反応があっても、年齢が上がれば激しく反応しなくなります。大人になってから虫刺されで苦労しないためにも、子供のうちに”カ”に少しずつ刺されるのがいいのかもしれません。

でも、できてしまった虫刺されは放置しないで早めに受診してください。程度に合わせた薬をきちんと処方いたします。

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毛虫皮膚炎

20130615-kemushiチャドクガの毒針毛が刺さることで、非常にかゆいブツブツが皮膚に無数に生じる病気です。他の虫刺されと異なり、毛虫に触れたことに気付かない場合が多いので、毛虫皮膚炎の知識がないとまた刺されることがあります。以下の特徴をしっかり理解して下さい。

〈毛虫に刺されたことに気付かない理由〉

  1. 毛虫の表面に肉眼で見える毛には毒はなく、毒針毛は長さ0.1mm前後で肉眼では見えず、毛虫の黒いところに密生して存在します。
  2. 幼虫1匹に毒針毛は50万本あると言われています。
  3. 毒針毛は軽く簡単にはがれるので、触らなくても近くを通った時に風にのって飛んできた毒針毛に刺さることもあります。
  4. かゆみやブツブツは毒によるアレルギー反応で生じます。単に針でさされたことによる刺激で生じるわけではありません。アレルギー反応なので、人によって反応が異なり、刺された当日からはれる場合と、1~2日後に遅れてかゆくなる場合があります。

〈予防対策〉

  • 幼虫はツバキ、サザンカ、チャなどのツバキ科の食物の葉を食べます。
  • 幼虫は5~6月と8~9月頃に出現します。
  • 幼虫以外に、卵やまゆの周りやメスの成虫の尾っぽにも毒針毛を認めます。

したがって、

  1. この時期にツバキやサザンカの周りに行くことは避けて下さい。
  2. 衣類に付いた毒針毛でも皮膚炎が生じます。駆除などの際はビニール雨具が必要です。
  3. 駆除後に死んだ幼虫や脱皮した殻に付いている毒針毛も皮膚炎の原因になります。

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