春の紫外線にはご注意を -1-

Q: なぜ春の紫外線に注意が必要なのでしょうか?
A: 紫外線は、真夏の方が強いと思っている方も多いと思いますが、5月頃からは8月とほぼ同じ程度の紫外線が出ています。ですから、紫外線対策は梅雨まえから始める必要があります。

Q: 紫外線対策をしないとどうなりますか?
A: 紫外線に当たって日焼けをするのは当然として、日焼けをしない量でもそれが積み重なると皮膚の老化につながります。このような老化を専門用語では、光老化(ひかり ろうか)と言って、年齢を重ねることで生じる老化とは区別しています。

Q: 具体的には光老化とはどのような症状が出るのですか?
A: 光老化では、皮膚のハリがなくなり、シミやしわが目立つようになります。年配の方の顔にはシミやしわが多く、またイボ状の変化も見られますが、日光を浴びていない太ももは色が白く、柔らかで、深いしわはありません。通常の老化が40歳を超えた頃から意識するのに対し、光老化による顔のシミは、まだ若い20歳から見られるのが特徴です。

紫外線の多い鹿児島と少ない秋田で、女性の顔のシミを比較した調査があります。この調査では、シミの数は鹿児島の60才の女性と秋田の40才の女性が同じ程度だったそうです。紫外線がいかにしみに大きな影響を及ぼすかがわかると思います。

Q: 紫外線を浴びると皮膚ガンができやすくなりますか?
A: 真夏の昼間に1時間紫外線を浴びると、皮膚の遺伝子に約10万個の傷が出来ます。もちろん傷は直ぐに修復されますが、長年にわたり繰り返し紫外線で傷つけられると、傷の直し間違いが起こります。その部分がたまたまガンに関わる遺伝子であった場合、皮膚ガンになります。

白人では、10歳までの紫外線に当たった量が多いと、皮膚ガンの発生率が3~5倍高くなると言われています。我々日本人の皮膚は、白人の皮膚とは異なりますが、日光浴は繰り返して行うことは避けた方が無難だと思われます。

Q: 日光浴は健康に良いイメージがありますが、紫外線が身体のためになることはないのですか?
A: 骨を作るのに必要なビタミンDの合成に紫外線は必要です。しかし、これはわざわざ日光浴をしなくても、知らず知らずに浴びてしまう程度の紫外線で十分です。また、皮膚科では紫外線の性質をうまく利用して乾癬(かんせん)やアトピ-性皮膚炎などの治りにくい皮膚病の治療に利用しています。

このように、紫外線は良い面もありますが、どちらかといえば悪い面の方が多いと考えられます。