春の紫外線にはご注意を -2-

Q: 光老化を防ぐためにはどのような対策を行えばいいのですか?
A: まずは強い紫外線を避けることが重要です。いつ紫外線が強いのかを知っていれば、紫外線を上手に避けることが出来ます。


Q: ではいつ頃紫外線が強いのですか?
A: 夏に紫外線が多いのは当然ですが、先ほど話したように、5月頃から夏並みの紫外線が出ている日があり注意が必要です。1日のうちでは、午前10時から午後2時までの4時間に1日の紫外線の6割が出ているので、この時間の外出を避けることも大事です。

紫外線は天気によっても変わります。快晴の日は多いのですが、曇でも晴れの日の70%、雨の日でも30%の紫外線が出ています。よく、暑くないので紫外線が強くないと思っている人がいますが、これは間違いです。日光による暖かさは赤外線によるものなので、暑さを感じない時でも、紫外線が多い場合があります。

梅雨を過ぎれば、みなさんも山や海に行く機会が増えると思います。山に行くと涼しくなりますが、標高が上がれば紫外線の量は多くなります。また、海では海水面や砂浜からの照り返しが強いので、注意が必要です。


Q: 紫外線の強い時に外出しなければならない場合はどうすれば良いですか?
A: 日陰を歩く、帽子や日傘、サングラス、それから最近ではUVカット加工をしてある洋服を着ることなどが重要です。また、必ず日焼け止めを使うようにして下さい。


Q: お勧めの日焼け止めはありますか?
A: 日焼け止めに表示してある数字はご存じですか。これはSPFという値で,値が大きい程、紫外線に対する防御効果があります。ところで、地上に届く紫外線にはA波とB波の2つがあります。実は、SPFはB波を防ぐ能力を表しているのです。B波は日焼けや光老化に関係した紫外線なので、これを防御することは大事ですが、A波を防ぐこともおろそかにしてはいけません。A波はB波よりも皮膚の奥深くまで到達しますし、窓ガラスでブロックされるB波と違い、A波は窓ガラスも通過します。このA波を防ぐ能力がPAという表示で、+、++、+++というようにパッケージに書かれています。当然3+の方がA波を防ぐ能力が高いということになります。

日常生活で紫外線を予防するためには、SPF30、PA+++程度のものがお勧めです。日焼け止めは薄く塗っても規定の効果が出ませんので、顔だと真珠の玉2個分位を全体にのばしてください。また3時間に1回くらい塗り替えるほうが確実です。塗る場所で、意外と忘れやすいのがうなじや、耳たぶ、胸、首、手の甲です。これらの部位にもきちんと塗りましょう。なお、最近の製品には落ちにくいものがあり、その場合、夜にはきちんと専用のクレンジングなどで洗い落とすことが大切です。

 それから、まれに、日焼け止めが合わない人がいます。日焼け止めの主成分には紫外線吸収剤と散乱剤があるのですが、吸収剤はかぶれることがあります。ですから肌の弱い人は,ノンケミカルとか吸収剤未使用などと表示されている散乱剤だけの製品が良いでしょう。ただし,強い遮断力を必要とする場合は、吸収剤入りの方がやはり効果的です。

最後に、シミやしわが気になる場合は、紫外線を避けるのが一番なのですが、できてしまったシミやしわに関しては、皮膚科でご相談されるのも1つの方法だと思います。

春の紫外線にはご注意を -1-

Q: なぜ春の紫外線に注意が必要なのでしょうか?
A: 紫外線は、真夏の方が強いと思っている方も多いと思いますが、5月頃からは8月とほぼ同じ程度の紫外線が出ています。ですから、紫外線対策は梅雨まえから始める必要があります。

Q: 紫外線対策をしないとどうなりますか?
A: 紫外線に当たって日焼けをするのは当然として、日焼けをしない量でもそれが積み重なると皮膚の老化につながります。このような老化を専門用語では、光老化(ひかり ろうか)と言って、年齢を重ねることで生じる老化とは区別しています。

Q: 具体的には光老化とはどのような症状が出るのですか?
A: 光老化では、皮膚のハリがなくなり、シミやしわが目立つようになります。年配の方の顔にはシミやしわが多く、またイボ状の変化も見られますが、日光を浴びていない太ももは色が白く、柔らかで、深いしわはありません。通常の老化が40歳を超えた頃から意識するのに対し、光老化による顔のシミは、まだ若い20歳から見られるのが特徴です。

紫外線の多い鹿児島と少ない秋田で、女性の顔のシミを比較した調査があります。この調査では、シミの数は鹿児島の60才の女性と秋田の40才の女性が同じ程度だったそうです。紫外線がいかにしみに大きな影響を及ぼすかがわかると思います。

Q: 紫外線を浴びると皮膚ガンができやすくなりますか?
A: 真夏の昼間に1時間紫外線を浴びると、皮膚の遺伝子に約10万個の傷が出来ます。もちろん傷は直ぐに修復されますが、長年にわたり繰り返し紫外線で傷つけられると、傷の直し間違いが起こります。その部分がたまたまガンに関わる遺伝子であった場合、皮膚ガンになります。

白人では、10歳までの紫外線に当たった量が多いと、皮膚ガンの発生率が3~5倍高くなると言われています。我々日本人の皮膚は、白人の皮膚とは異なりますが、日光浴は繰り返して行うことは避けた方が無難だと思われます。

Q: 日光浴は健康に良いイメージがありますが、紫外線が身体のためになることはないのですか?
A: 骨を作るのに必要なビタミンDの合成に紫外線は必要です。しかし、これはわざわざ日光浴をしなくても、知らず知らずに浴びてしまう程度の紫外線で十分です。また、皮膚科では紫外線の性質をうまく利用して乾癬(かんせん)やアトピ-性皮膚炎などの治りにくい皮膚病の治療に利用しています。

このように、紫外線は良い面もありますが、どちらかといえば悪い面の方が多いと考えられます。