とびひ(伝染性膿痂疹 でんせんせいのうかしん)とは
とびひ(伝染性膿痂疹 でんせんせいのうかしん)は、黄色ブドウ球菌やレンサ球菌による感染症で、特に夏に多く見られます。皮膚に感染した菌が毒素を出し、水ぶくれや皮むけ、かさぶたができ、ジュクジュクした状態になります。患部を触ったり、かいたりすると菌が広がり、周囲にも感染が広がるため「とびひ」と呼ばれます。
また、プールなどで肌が触れ合うことで他の人にもうつることがあります。湿疹や虫刺されをかきむしった傷、ケガを放置すると、その部分から菌が入り込んでとびひを引き起こすこともあります。

治療方法
とびひ(伝染性膿痂疹 でんせんせいのうかしん)の治療には、菌を退治するために抗生物質の飲み薬や塗り薬を使います。かゆみがある場合や湿疹が一緒に出ている場合には、ステロイドの塗り薬も効果的です。また、アトピー性皮膚炎や乾燥肌の治療を同時に行い、再発を防ぐことも大切です。治療開始から3~4日経っても患部が乾かない場合は、耐性菌が原因の可能性があるため、別の抗生物質に変更する必要があります。

日常のケア
とびひ(伝染性膿痂疹 でんせんせいのうかしん)の日常ケアは、患部を石けんできれいに洗うことが大切です。入浴は可能ですが、体が温まりすぎるとかゆみが増すため、長湯は避けましょう。兄弟がいる場合は別々に入浴させ、タオルを共有しないようにします。プールは完治するまで中止してください。登園や登校は可能ですが、ジュクジュクした患部がある場合はガーゼをあてて保護します。爪は短く切り、患部に触らないように注意しましょう。
Q&A
A:乾燥肌の子供です。肌が乾燥すると、外からの異物の侵入をはばむバリア機能が低下し、菌が皮ふの中に入りやすくなるからです。
A:菌を殺す薬(抗生物質)が効かない菌のことです。とびひではMRSAという耐性菌が問題になることがあります。当院では治療前に細菌培養検査を行い、どんな菌でとびひになったかを調べておき、治りが悪い場合はその結果を参考に抗生物質の変更を行います。
A:乾いている皮ふにはあまりいませんが、鼻の中やジュクジュクした皮ふで高頻度に認めます。鼻くそをほじると鼻の菌が皮ふについてとびひになりやすいので、注意しましょう。
A:病院でも使用しているイソジンは確かに菌を減らしますが、それは使用中の時だけで、使用後は残った菌がまた増殖してしまいます。さらにイソジンは大事な皮ふの細胞をも痛めてしまうので、とびひに消毒は勧められていません。菌を減らすためには患部を石けんできれいに洗い流すことが最も有効です。