手荒れとは
- 手に赤みや小さな水ぶくれができ、皮(かわ)がむけカサカサしてきます。治療せずに放置すると皮膚がガサガサと厚くなり、切れて痛くなります。
- 小さいときにアトピー性皮膚炎だった方、冬になると皮膚が乾燥する方になりやすいことがわかっています。
- 手をよく使う方(主婦、美理容師、飲食業、作業従事者、医療関係者など)に多く生じます。
- 主な原因は洗剤、石けん、シャンプー、消毒液からの刺激です。

- 金属、ゴム類、草花、仕事に関連した物質などでかぶれることもあります。疑われる場合パッチテストを行い原因を調べます。
治療方法
まず症状が悪化する原因をできる限り避けることが基本です。
- 原因を避ける:手荒れの原因となる刺激やアレルゲン、化学物質、過度な手洗いなどを極力避けることが大切です。(手袋の使用や洗剤の変更など)
- ステロイドのぬり薬:皮膚の炎症に応じて、適切な強さのステロイド外用薬が使用されます。これにより、炎症を抑えて皮膚の状態を改善します。
- 保湿剤の併用:乾燥が目立つ場合は、ステロイドと併用して保湿剤を使います。保湿剤は皮膚のバリア機能をサポートし、乾燥による悪化を防ぎます。

- シール状の貼り薬:切れて痛みがある場合には、シール状の貼り薬を使って皮膚を保護します。これにより、外部からの刺激を防ぎ、自然な治癒を促進します。
- 紫外線治療:上記の治療で効果が見られない場合や、仕事上どうしても刺激を避けることが難しい場合には、紫外線治療が試みます。紫外線治療は皮膚の炎症を抑える効果があり、難治性の手荒れにも有効です。
日常のケア
- ゴム手袋の使用:洗剤や化学物質を使用する際は、必ずゴム手袋を着用して手を保護することが大切です。これにより、手に対する負担を軽減し、皮膚のバリア機能を保つことができます。
- 手洗い回数の調整:手を頻繁に石けんで洗うと、皮膚の脂質が失われて乾燥や手荒れを引き起こします。必要な場合でも、手洗い回数を減らしたり、マイルドな石けんを選んだりする工夫をしましょう。
- 保湿剤の使用:特に乾燥肌の方は、日常的に保湿剤をたっぷり使用することが大切です。保湿剤は肌に潤いを保ち、手荒れや乾燥を予防します。

- 早めの治療:手荒れが軽度であっても放置すると悪化する可能性があります。市販の保湿剤で対処するだけではなく、早めに適切な治療を受けることをお勧めします。
- 絆創膏の使用について: 皮膚が切れて痛みがある場合でも、絆創膏を貼ることで周囲の皮膚が蒸れて感染の原因になることがあります。むしろ皮膚を清潔に保ち、適切な方法で治療することが重要です。
Q&A
Q:仕事や家事をやめると良くなるのは分かっているのですが、仕事なのでやめられず手荒れもよくなりません。どうしたらいいですか?
A:仕事や家事が原因の手荒れは治りにくい病気の1つです。ただ完治しないからといって治療をやめるとジュクジュクしてきたり、皮膚が切れて痛くなります。したがって、薬をしっかり使い、極力原因を避けるように工夫しながら治療を続けていくのが良いと思います。治りにくい場合は紫外線治療を試みると改善する場合があります
Q:手の皮むけがひどく、水虫が心配です
A:手の皮を少し取って顕微鏡で調べると水虫かどうかすぐにわかります。一度受診して下さい。
Q:子供で水仕事などなにもしていないのに手が荒れてきます。どうしてですか?
A:アトピー性皮膚炎の場合は手が荒れますし、手洗いの仕方が問題なのかもしれません。また、手荒れではなく異汗性湿疹という病気かもしれません。いずれにしても専門医での診察をうけて診断をはっきりさせた方が良いでしょう。
Q:手荒れもありますが、爪も変形してきました。大丈夫でしょうか。
A:爪の周りに手荒れがあると爪も変形してきます。水虫などの他の病気を除外した上で、爪の周りにもきちんと薬を付ける必要があります。一度爪が変形すると生え替わるまで改善しないので、半年以上治療を続ける必要があります。