白斑とは
白斑は、皮膚の色が白くなる病気で、メラニン色素を作る細胞が壊れることにより、皮膚に色素がなくなることで発症します。白斑には主に以下の2種類があります。
- 分節型白斑: 体の一部の皮膚が白くなるタイプで、特定の神経の分布に沿って現れることが多いです。
- 全身型白斑: 全身の皮膚に白斑が広がるタイプで、ゆっくりと拡大する傾向があり、分節型よりも治りにくいとされています。
白斑は、一般的には10~30歳頃に発症することが多いですが、小児や高齢者にも発症することがあります。白斑は遺伝病ではありませんが、患者の約10%は家族にも同じ症状がみられることがあります。
原因はまだ完全には解明されていませんが、現在のところ、メラニン色素を作る細胞が何らかの原因で壊されて消失することが主な要因と考えられています。これが皮膚の一部が白くなる原因となっています。

治療方法
紫外線治療(ナローバンドUVB、エキシマライト)
白斑の治療において、最も効果的とされるのがナローバンドUVBやエキシマライトを使用した紫外線療法です。これらは、308~311nmの紫外線を照射する治療法で、週に1~2回、1回あたり30秒程度の照射を行います。
- ナローバンドUVBやエキシマライトによる紫外線療法は、白斑治療に有効ですが、すぐに効果が現れるわけではありません。まずは10~20回程度の治療を行い、その効果を確認してから治療を続けるかどうか判断します。
- 白斑の部位によって効果に違いがあり、顔、体、上肢、下肢に比べて、手足の白斑には効果が出にくいことが知られています。
ぬり薬
紫外線治療に加えて、家庭で使用する外用薬としてステロイド軟膏、プロトピック軟膏、ビタミンD3軟膏が推奨されています。
- ステロイド軟膏は従来から使用されている治療薬で、炎症を抑えることで白斑の進行を防ぎ、皮膚の色素沈着を促進します。
- プロトピック軟膏(タクロリムス)とビタミンD3軟膏は、最近その有効性が報告されている薬剤です(この2剤は白斑には保険適応外です)。

表皮移植術
- 吸引水疱術:色が抜けていない皮膚に注射器で陰圧をかけて吸引することにより水ぶくれを作り、水ぶくれで浮いた皮膚を白い部分の皮膚にうつします。水ぶくれで浮いた皮膚には色素を作る細胞(メラノサイト)が含まれているので、白い皮膚の一部に色がつくことになります。うまくいけば効果的な方法ですが、色がでない場合やまた色がぬける場合もあります。治療には3時間程度かかります。

- 1mmミニグラフト法:色素が残っている皮膚から1mmの大きさの皮膚を取ってきて、白い皮膚に植えかえします。1mmの小さい色素ですが、その後紫外線治療を行うことで周囲に色素が拡大していきます。1mmの大きさなので、傷跡が目立ちにくくなるのが特徴です。
パーフェクトカバー
白斑を隠すための新しい手段として、資生堂が開発したパーフェクトカバーというファンデーションがあります。このファンデーションは、従来のファンデーションやコンシーラーのように厚塗りになったり、不自然な仕上がりになることがなく、メラニンに似た自然な色を加えることで、より自然な見た目を実現します。さらに、男性や子供でも使用できるように設計されています。
パーフェクトカバーは、講習を受けた医療機関でのみ販売されており、当院でも診察後に使用法の指導を行っています。講習を受けた女性医師や看護師が丁寧にファンデーションのつけ方をお教えしますので、安心してご相談ください。
白斑の治療は難しい病気ですが、最近ではナローバンドUVBやエキシマライトのような新しい紫外線治療法が効果を示しています。これらの治療法は、全ての病院で導入されているわけではありませんが、当院ではすでにこれらの機械を導入していますので、ぜひ一度お試しください。
日常のケア
日焼けを避ける
日焼けをすると白斑が目立つだけでなく、色素を落とそうとする力が働くので、色が抜けることがあります。日焼け止めをつけるなどして日焼けをしないようにして下さい。

服による圧迫を避ける
皮膚を圧迫すると色が抜ける場合があります。圧迫しないようなゆったりとした服を着るようにして下さい。
傷を放置しない
傷のあとに色が抜けることがあります。傷をしたときは受診して正しい治療を受けるようにして下さい。
Q&A
A:以前はPUVA(プバ)という方法で紫外線をあてていました。ナローバンドUVBやエキシマライトの方が効果が出るので、やっていなければこれを試してみて下さい
A:白斑の拡大がないのなら、表皮移植術を行います。ご相談下さい。
A:白斑の治療において、まずはぬり薬を使った治療を試みます。しかし、外用薬だけでは色素の再生が不十分な場合には、患者さんと相談の上、期間を決めて紫外線治療を行うことがあります。
紫外線治療としては、特にナローバンドUVBが効果的です。アメリカからの報告によると、4~16歳の子供に週2回のナローバンドUVB治療を最大1年間実施した場合、その期間中に特に副作用が生じなかったというデータがあります(J Am Acad Dermatol 42:245, 2000)。このように、紫外線治療は比較的安全で、特に子供にも適用できることが確認されています。
治療の効果や安全性を考慮しながら、最適な治療方針を相談して決定していくことが大切です