ステロイド以外の炎症を抑えるぬり薬:プロトピック軟膏、コレクチム軟膏、モイゼルト軟膏

ステロイド以外の炎症を抑えるぬり薬:プロトピック軟膏、コレクチム軟膏、モイゼルト軟膏

プロトピック軟膏、コレクチム軟膏、モイゼルト軟膏の特徴

 

 

 

上記の3つのぬり薬の特徴は、ステロイド外用剤の長期使用で問題となる毛細血管拡張や皮膚萎縮といった副作用を出すことがなく、皮膚の炎症を抑えることができることです。

ただし、症状を改善する力は強いステロイド外用剤より劣るため、症状がひどい場合はまずステロイド外用剤を使い、その後上記の薬のいずれかに変更して継続してもらいます。一方、軽い場合は上記の薬を最初から使う場合もあります。

なぜステロイド外用剤の長期使用が問題か

ステロイド外用剤の方が早くよく効きますが、長期使用するとその副作用で徐々に皮膚が薄くなり、血管が広がるため、使っていても赤みが取れなくなります。より正確に表現すると、ステロイドを使えば赤みは薄くなりますが、翌日にはまた赤く戻ってしまうはずです。

実際に上記の3つの薬を使うと、赤みが改善するだけでなく、皮膚の質感も良くなっていきます。

高齢者の場合は赤みに加えて、ステロイド外用剤の副作用で内出血をきたすこともありますが、上記の薬にはこのような副作用はありません。

プロトピック、コレクチム、モイゼルトの副作用

いずれの薬も皮膚の免疫を抑える薬です。従って、ニキビ、おできやとひびなどの皮膚の感染症に使うと症状を悪化させますし、傷やジュクジュクした所に使うことはできません。また、使っているうちに毛穴や小さい傷から細菌が入って感染症が起こる可能性もあります(この副作用はステロイド外用剤でも起こりうる副作用です)。

プロトピック軟膏だけはぬり始めだけヒリヒリ、チクチクといった刺激症状を感じる場合がありますが、コレクチム軟膏やモイゼルト軟膏にはありません。このプロトピック軟膏の刺激症状は1週間ぐらい継続すると感じなくなっていきます。

プロトピック、コレクチム、モイゼルトの違いは

プロトピック コレクチム モイゼルト ステロイド
発売時期 1999年 2020年 2022年 1970年代
後発品の有無 有り 無し 有り
分子量(ダルトン) 882 310 446 477
刺激症状 有り 無し

 

 

 

 

違いは分子量にあります。分子量500以上の薬は健康な皮膚を通過できません。プロトピックは800もあるため健康な皮膚にぬっても吸収されませんが、荒れた皮膚は目が粗くなっているためプロトピックでも容易に浸透します。つまり、プロトピックは荒れた状態の時だけ浸透して薬効を表し、改善すると浸透しなくなり余分な副作用を避けるようにできた薬ともいえます。この性質をうまく利用して行う治療法がプロアクティブ療法です(詳細はブログへ)

一方、コレクチムは分子量300と小さいため、浸透が悪い手足の皮膚に利用すると良いと考えています。モイゼルト軟膏の効果などはブログにまとめました。

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