床ずれ、褥瘡(じょくそう)の治し方
床ずれは予約制。待ち時間がありません(土曜日以外)
床ずれが治りにくい理由
普通の皮ふの傷や皮膚潰瘍は1〜2週間ぐらいで治りますが、床ずれは中々改善しない場合があります。
その理由は以下のAとBがあるからです。
A:自分で寝返りをうてず、傷への圧迫が解消されない
B:食事量が少ない、全身状態が悪いなど栄養が不足している
治りにくい床ずれを治る傷に変えるために
傷の処置と平行して、以下のことを行います。
①傷への圧迫を減らすためにベッドや車いすにエアマットを導入
最近のエアマットは高機能で、エアマットに一定時間ごとに体位を変換する機能がついています。その他に寝ていてもフワフワした感じがしないように圧の調節が出来たり、座面がすぐに硬くなり起き上がるときに便利なモードが付いています。詳細はメーカーのHP(モルテン、ケープ)を参照下さい。高機能のエアマットでも介護保険を使えば月1000円程でレンタルできます。
②関節が固まらないようにリハビリを
特に膝の関節が固まってしまうとエアマットを使っても床ずれが治りにくくなります。下肢全体にクッションを入れて膝関節が固まらないように予防することも大切です。クッションの使い方はこちらを参照にして下さい。
③ポジショニンググローブやスライディングシートの利用
介助者が楽に体位変換やオムツ交換、車いすへの移動を行えるように使用します。それ以上に、傷へ無理な負荷がかからないようにする働きもあります。最近は体位交換時のずれや摩擦により床ずれが悪化することが知られています。ユーチューブにあるこのビデオが参考になります。
④現在の食事量を調べ、少ない場合は栄養の追加を
生命を維持するための最低限のカロリー数に加えて、傷を治す分のカロリーが必要です。食べやすい食事に変更してもらったり、栄養補助食品などを追加したりします。
口の中が汚くトラブルがあると食事量の低下にもつながります。このため口腔ケアが行って頂く場合もあります。
上記①〜④はかかりつけ医、ケアマネージャー、訪問看護師、理学療法士(リハビリ)、管理栄養士、歯科衛生士など他の専門家と協力して行います。
床ずれの処置
①壊死(えし)部分の除去
皮ふが死んでしまった壊死部分は傷が治るのを阻害するため、ハサミやメスで除去します。また、壊死部分は放置しておくと感染の原因にもなります。
②感染対策
傷や皮膚潰瘍の周りが赤くはれてきたら感染のサインです。早めに受診して下さい。抗生剤の点滴やのみ薬で治療いたします。
③湿潤治療
傷は乾きすぎても、傷の周りが白っぽくふやけすぎても治りません。傷を治すには適度な潤いが必要です。1962年に発表された有名な実験があります。豚の皮ふに傷を作り一方はカサブタをつけて乾かしながら、もう一方はカサブタをはがしフィルムをつけて潤いを保ちながら治した場合、フィルムの方が2倍早く治っています。当院では数種類の被覆剤を状態によって使い分け、良好な湿潤環境を保つように治療しています。