家族の床ずれ、褥瘡(じょくそう)を見つけたら
床ずれは、体重による圧迫で血流が滞ってできる皮ふの傷です
人は寝ている間でも無意識に寝返りを打ったり、座っている間でもお尻の位置をずらしたりして、長時間の皮ふへの圧迫を避けています。このような動作を「体位変換」といいます。
しかし、麻痺や寝たきり状態で体位変換を行う事ができない人は、同じ部位が圧迫され続け、皮ふに十分な酸素や栄養が行き渡らず床ずれが出来てしまいます。
床ずれが起こりやすい場所は?
骨が出っ張った場所は強く圧迫されるので、床ずれが出来やすくなります。高齢者や栄養状態が悪い人はクッションの役割をしてくれる筋肉や脂肪が減り、骨の出っ張りがより目立つようになります。
図は後ろから見た骨の場所と床ずれの出来やすい場所を表しています。腰回りにできやすいことを覚えておいて下さい。
1)上を向いて寝ているとき:仙骨部、かかと
2)横を向いて寝ているとき:腸骨部、大転子部
3)座っている時:尾骨部、坐骨部
床ずれの前ぶれを見逃さない
写真は腰(腸骨部)にできた床ずれの前ぶれで、赤くなっているのが分かると思います。何もしないと数日後には傷(皮膚潰瘍)になるので、赤い段階でなるべく早く受診するようにして下さい。
床ずれが起こりやすい場所は寝ていると見えにくい場所なので、寝たきりに近い人がいる家族は意識して見てあげるようにして下さい。
床ずれの初回診察は予約制で、待ち時間がありません(土曜日以外)
1)必ず家族、ケアマネと一緒に来院下さい。
2)予約日時はメールのやりとりで決めています。まずここからメールを送って下さい(お手数ですがメールには床ずれ診察希望とお書き下さい)
3)問診票をダウンロードし、もれなく記載してお持ち下さい。
4)往診が必要な場合は診察時に相談させて下さい。
次は床ずれの直し方です
床ずれが治りにくい理由
普通の皮ふの傷や皮膚潰瘍は1〜2週間ぐらいで治りますが、床ずれは中々改善しない場合があります。
その理由は以下のAとBがあるからです。
A:自分で寝返りをうてず、傷への圧迫が解消されない
B:食事量が少ない、全身状態が悪いなど栄養が不足している
治りにくい床ずれを治る傷に変えるために
傷の処置と平行して、以下のことを行います。
①傷への圧迫を減らすためにベッドや車いすにエアマットを導入
最近のエアマットは高機能で、エアマットに一定時間ごとに体位を変換する機能がついています。その他に寝ていてもフワフワした感じがしないように圧の調節が出来たり、座面がすぐに硬くなり起き上がるときに便利なモードが付いています。詳細はメーカーのHP(モルテン、ケープ)を参照下さい。高機能のエアマットでも介護保険を使えば月1000円程でレンタルできます。
②関節が固まらないようにリハビリを
特に膝の関節が固まってしまうとエアマットを使っても床ずれが治りにくくなります。下肢全体にクッションを入れて膝関節が固まらないように予防することも大切です。クッションの使い方はこちらを参照にして下さい。
③ポジショニンググローブやスライディングシートの利用
介助者が楽に体位変換やオムツ交換、車いすへの移動を行えるように使用します。それ以上に、傷へ無理な負荷がかからないようにする働きもあります。最近は体位交換時のずれや摩擦により床ずれが悪化することが知られています。ユーチューブにあるこのビデオが参考になります。
④現在の食事量を調べ、少ない場合は栄養の追加を
生命を維持するための最低限のカロリー数に加えて、傷を治す分のカロリーが必要です。食べやすい食事に変更してもらったり、栄養補助食品などを追加したりします。
口の中が汚くトラブルがあると食事量の低下にもつながります。このため口腔ケアが行って頂く場合もあります。
上記①〜④はかかりつけ医、ケアマネージャー、訪問看護師、理学療法士(リハビリ)、管理栄養士、歯科衛生士など他の専門家と協力して行います。
床ずれの処置
①壊死(えし)部分の除去
皮ふが死んでしまった壊死部分は傷が治るのを阻害するため、ハサミやメスで除去します。また、壊死部分は放置しておくと感染の原因にもなります。
②感染対策
傷や皮膚潰瘍の周りが赤くはれてきたら感染のサインです。早めに受診して下さい。抗生剤の点滴やのみ薬で治療いたします。
③湿潤治療
傷は乾きすぎても、傷の周りが白っぽくふやけすぎても治りません。傷を治すには適度な潤いが必要です。1962年に発表された有名な実験があります。豚の皮ふに傷を作り一方はカサブタをつけて乾かしながら、もう一方はカサブタをはがしフィルムをつけて潤いを保ちながら治した場合、フィルムの方が2倍早く治っています。当院では数種類の被覆剤を状態によって使い分け、良好な湿潤環境を保つように治療しています。
④ぬり薬
感染がある場合はゲーベンクリームやカデックス軟膏を、感染がない場合はフィブラストスプレー、プロスタンディン軟膏、アクトシン軟膏を用いて治療します。この中でフィブラストスプレーはbFGF(塩基性線維芽細胞成長因子)を含む製剤で、強力に血管を新生し、良好な肉芽を増やす作用があります。
床ずれの初回診察は予約制で、待ち時間がありません(土曜日以外)
1)必ず家族、ケアマネと一緒に来院下さい。
2)予約日時はメールのやりとりで決めています。まずここからメールを送って下さい(お手数ですがメールには床ずれ診察希望とお書き下さい)
3)問診票をダウンロードし、もれなく記載してお持ち下さい。
4)往診が必要な場合は診察時に相談させて下さい。