帯状疱疹の痛み
帯状疱疹は顔や体の左右いずれか片方に強い痛みがあるのが特徴です。
チクチク、ピリピリ、あるいはズキンズキンとする痛みや違和感で、ウイルスが皮ふに分布する神経で増えて炎症が起こるためです。
痛みは、皮ふに赤い斑点や水ぶくれが出る数日前に出現することもあります。
この痛み、最初は炎症による神経痛なので抗炎症剤(いわいる痛み止め)がよく効きます。しかし、時間が経っても残る痛み(帯状疱疹後神経痛)は神経が損傷されて起こる痛みで、すでに炎症は治まっているため別の薬が必要です。
帯状疱疹後神経痛の代表的な薬はリリカという神経の興奮を抑える薬です。眠気やふらつきの副作用はありますが、神経痛をやわらげる効果があります。トラムセットといって、アセトアミノフェン(痛み止め)とトラマドール(麻薬ではありませんが、麻薬のように脳で痛みを感じなくさせる薬)の合剤を使う場合もあります。
当院の副院長は神経内科専門医です。 帯状疱疹後神経痛は皮膚科と神経内科の両方の科で治療を行います。
神経内科ではリリカやトラムセット以外の専門的な薬も使います。例えば、トリプタノールやパキシルなどの抗うつ薬は痛みを和らげる神経を活発にする効果が、てんかんの薬リボトリールは異常な神経の興奮を抑える効果があるので、有効な場合があります。
しかしできれば帯状疱疹後神経痛という後遺症を残したくないもの。多くの人は皮膚症状が改善する1~3週間後に痛みは良くなりますが、以下の方は神経痛が残りやすいといわれています。
1)60才以上の高齢者
2)皮膚病変がひどい
3)最初の痛みが非常に強い
4)ウイルスを抑える薬を飲む時期が遅かった
したがって、 顔や体の左右いずれか片方に痛みや発疹が急に出てきたら、帯状疱疹を疑いなるべく早期に薬を開始することが大切です。