円形脱毛症の局所免疫療法
円形脱毛症は、その名のとおり円形に脱毛が生じる病気です。10円玉大ほどの大きさで抜けることが多いですが、もっと大きいこともあり、個数も1個のことから複数個の場合があります。また、ひどくなると頭の毛がすべて、さらには全身の体毛まで抜けることがあります。
原因はわかっていませんが、免疫を担当しているリンパ球が誤って毛根を攻撃するために毛が抜けると考えられています。毛は抜けますが、毛を生み出す幹細胞は攻撃されず残るので、永久脱毛になることは稀な病気です。
最近、日本皮膚科学会から円形脱毛症の治療指針が発表され公開されています。当院で行っている治療はおおむねこの新しい治療指針に準拠しています(当院の治療方法はこちら)。この中で、局所免疫療法は25%以上の毛が抜けている人に行うように勧められる治療として位置づけられています。
局所免疫療法とは、SADBEあるいはDPCPという合成化学物質を用いて、故意に脱毛部に”かぶれ”を起こし、皮膚の免疫の働きを正常化する方法です。
この局所免疫療法は50~60%の方に有効です。すべての人に効くわけではありませんが、これ以上に効果のある方法はこれまで開発されていないので、試みてもよい方法と考えています。副作用はかぶれすぎる場合があることです。処置後に痒みや赤みが強くでたり、ただれたりすることがあります。内臓への影響や発癌性は現在のところ知られていません。
具体的のやり方は以下の通りです。
1) 故意に”かぶれ”を起こすには、まずSADBEあるいはDPCPを体に覚えさせる必要があります。そのために濃い濃度の液体を脱毛部に2日間貼り付けてもらいます。
2) 貼ったあと徐々にかゆみが出てきます。かゆみが我慢できない場合は2日間待たずにはずして下さい。はずした段階で痒みやただれがひどい場合は受診して下さい。貼っている間は頭を水で濡らさないようにして下さい。
3) 貼ってから2~3週間で体はこれらの化学物質を覚えるので、非常に薄い濃度の液体を脱毛部に1~2週間ごとにハケでぬっていきます。ぬる液体の濃度は塗布後のかゆみや赤みを参考にしながら徐々に濃くしていきます。
この局所免疫療法は子供さんからでも行える治療です。治りにくい円形脱毛症でお悩みの方は一度相談に来て下さい。